社長:
今度、社員の慰安旅行に行こうと思うんですが、
海外にするか国内にするか迷ってます。
ところで、社員旅行って経費になるんですか?
税理士:
要件を満たせば、福利厚生費になりますよ。
社長:
要件って何ですか?
難しいこと言わないでくださいよ。
税理士:
そうですね、要件としては、
①その旅行の内容が社会通念上一般的に行われていると認められ、
②4泊5日以内であること、
③参加する従業員等の数が全従業員等の50%以上であることが、
所得税基本通達等に記載されています。
どうです、難しくはないでしょう。
【所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益…使用者が負担するレクレーション費用)】 使用者が役員又は使用人のレクレーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。 (注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税する。)
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使用者が、従業員等のレクレーションのために行う旅行の費用を負担することにより、これらの旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益については、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合などを総合的に勘案して実態に即した処理を行うこととするが、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として課税しなくて差し支えないものとする。 ⑴ 当該旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在に数による。)以内のものであること。 ⑵ 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)の50%以上であること。
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社長:
出ましたね!先生の大好きな「社会通念上」!!
これがややこしいんですよね、「普通に考えて」ってことでしょうけどね。
ところで、金額の基準はありますか?
税理士:
金額については通達等に定めていませんが、
判例などでは、一人当たり概ね10万円程度とされています。
上記3つの要件をクリアすれば、概ねその金額に収まるということでしょう。
社長:
この基準をクリアすれば、福利厚生費になるということですね。
税理士:
その通りです。ただし・・・
社長:
まだあるんですか。
税理士:
そうですよ、単純なことほど奥深いもんなんです。
特定の役員や従業員だけで行った場合、「給与」として課税されますし、
参加募集した結果、自己都合や業務都合で不参加となった従業員等に対し、
金銭(旅行券や金券を含む。)を渡せば、同じく「給与」として課税されます。
社長:
みんなで参加すれば問題ないですね。
税理士:
じ~。
なんか悪いこと考えてませんか。
まぁその通りですけど。
社長:
考えてませんよ、人聞きが悪いなぁ。
ちなみに海外なんかはどうですか?
税理士:
現地の滞在期間が4泊5日であれば、国内旅行と同じ要件で大丈夫ですが、
金額基準がクリアできるかが問題になります。
ただし、概ね10万円を超える場合であっても、パック旅行等と同等であるなど、
「社会通念上一般的に行われている」旅行であれば認められる可能性はありますので、
どうしても海外にということであれば、あまり高額でない場所をチョイスするなどしてください。
社長:
おぉ「社会通念上」も捨てたもんではないですね。
わかりました、社会通念上楽しい旅行を企画するようにしてみます。
税理士:
・・・。
広島総合税理士法人