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教えて!相続先生『相続人がいない場合には、財産はどこへいくのでしょうか?』

2021/05/24 [MON]

近年結婚をしていなかったり、

結婚していても子供がいなかったりする家族が増えております。

 

民法には、(法定)相続人について以下のように規定しています。

 

【相続順位】

第1順位:直系卑属(子や孫、ひ孫など)

第2順位:直系尊属(父母や祖父母、曾祖父母など)

第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥姪)

 

ちなみに、法定相続人と相続人は同じとみてよいのですが、

厳密には、法定相続人でも相続人にならないケース

(つまり財産をもらわない)があります。

 

相続を放棄する場合や相続人を廃除する場合がこれに該当します。

 

被相続人に法定相続人がいない場合、

遺言書も残されていなければ、

相続財産は行き場がなくなってしまいます。

 

そこで、家庭裁判所は、利害関係人等が請求することによって、

被相続人の財産を管理し,負債の清算を行う「相続財産管理人」を

選任します。

 

相続財産管理人が選任されたら、

まず相続人捜索の公告を行います。

 

それでもやはり相続人がいない場合、

家庭裁判所が相当と認めるときは、

被相続人と特別の縁故のあった者の請求に、

清算後に残った相続財産の全部又は

一部を与えることができます。

 

特別の縁故というのは、

たとえば内縁の妻などがこれにあたります。

 

そして、特別縁故者に対する財産分与がされなかった場合、

相続財産は国庫に帰属することになります

(つまり、国のものになります)。

 

相続人不存在の場合の手続きの流れ(法務省HPより参照)

 

①家庭裁判所に対する相続財産管理人選任の申立(民法952条1項)

 利害関係人または検察官が、

 被相続人の相続開始他の家庭裁判所に申立をします。

 

②相続財産管理人選任の公告(民法952条2項)

 この公告は、管理人選任を公示することのほか、

 第1回目の相続人の捜索の意味を持ちます。

 公告期間は2か月です。

 

③相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告(民法957条1項)

 相続財産管理人選任公告の官報掲載日から

 2か月を経過しても相続人が現れない場合には、

 管理人は、2か月以上の期間を定めて、

 相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告をします。

 第2回目の相続人の捜索の意味もあります。

 また、知れている債権者には各別に催告をします。

 

④相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告(民法957条1項)

 相続財産管理人選任公告の官報掲載日から

 2か月を経過しても相続人が現れない場合には、

 管理人は、2か月以上の期間を定めて、

 相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告をします。

 第2回目の相続人の捜索の意味もあります。

 また、知れている債権者には各別に催告をします。

 

⑤相続人捜索の公告(民法958条)

 家庭裁判所は、管理人又は検察官の請求により、

 6か月以上の期間を定めて相続人の捜索の公告を行います。

 3回目の相続人の捜索の公告であり、

 相続人の不存在を確定させる公告です。

 

⑥特別縁故者への財産分与の申立

 財産分与を求める者から被相続人の最後の住所地を

 管轄する家庭裁判所に申立をします。

 この申立は、上記相続人捜索の公告(民法958条)の

 期間満了の翌日から3か月以内にする必要があります。

 

⑦残余財産の国庫への引継ぎ

 別縁故者からの財産分与の申立がないまま、

 相続人捜索の公告期間満了時から3か月が経過したとき

 (または分与の申立が却下されたとき)には、

 相続財産は国庫に帰属します。

 

⑧管理事務終了

 管理人は、管理終了報告書を、家庭裁判所に提出します。

 

広島総合税理士法人