令和4年度 税制改正大綱で、見送られた相続税と贈与税の一体化について
令和3年末に「令和令和4年度 税制改正大綱」がでた。
以前より検討課題に挙がっている相続税と贈与税の一体課税については、
令和4年度においても改正は見送られることとなった。
一部メディアでは「もうすぐ相続税と贈与税が一体化される」
「暦年課税制度がなくなる」など世間を騒がせており、
「暦年贈与はもうできなくなるかもしれない」と考えていた人も多かったようだ。
では何故国が出した方針が,このように数年にわたり見送られたのであろうか。
想像するに、この「一体化」は国民にとって非常に影響力が大きいためだと思われる。
特に、住宅メーカーは世代間の財産移転の抑制によって
住宅建築が停滞することに業界をあげて反対をしていたのではないかと思われる。
現在の自民党議員の大きな票田である。
では、生前贈与を考えている人はどうしたらよいか?
とりあえず、「税法の改正の動向をみながら生前贈与をすすめていく」のがよいのではないか。
法律の改正前の生前贈与の加算の遡及適用はないであろうから。
あくまで私見であるが・・・・
令和4年度 税制改正大綱
(2)相続税・贈与税のあり方
高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより
高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、
その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。
一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。
高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、
格差の固定化につながりかねない。このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ、
資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。
わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、
贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。
このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、
相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら
多額の財産を移転することが可能となっている。
今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、
現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、
格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、
本格的な検討を進める。
あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、
限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、
そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。
令和3年度 税制改正大綱
(3)相続税・贈与税のあり方
② 資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討高齢化等に伴い、
高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、
結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、
その有効活用を通じた、経済の活性化が期待される。
このため、資産の再分配機能の確保に留意しつつ、
資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築することが重要な課題となっている。
わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。
一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。
諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、資産の移転のタイミング等にかかわらず、
税負担が一定となり、同時に意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられている。
今後、こうした諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、
現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、
資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
広島総合税理士法人