『 私は、広島でも有数の繁華街で飲食店を経営していますが、
毎年頭が痛くなる確定申告の時期がまたやってきました。
令和3年は、コロナによる緊急事態宣言によりやむなく3か月間休業する羽目になりましたが、
青色事業専従者である妻からは休業中の給与の支払いを強く要求され、
気の弱い私は売上がない中いろいろ工面して青色専従者給与を支払いました。
(ちなみに、休業中は売上が無く赤字でしたので、私の小遣いは0円でしたが…)』
『休業中働いていない妻への青色専従者給与は必要経費になるのか心配になっているのと同時に、
事業の収支は3か月分の専従者給与を必要経費としなくても赤字なので、
必要経費にしないことも考えています。
仮に、必要経費にしなかった場合は、
既に納付した源泉所得税は還付されるのかどうか?
気になるところです。』
1 所得税法は原則として、生計を一にする親族が
事業に従事したとして対価を支払っても必要経費に算入しません(所法56条)。
例外として、専らその事業に従事した親族(事業専従者)への給与を特例として
必要経費に認めています(所法57条)。
(青色事業専従者給与は、あらかじめ給与金額の届出をする必要があります。)
2 青色事業専従者への給与はいくらでもいいのか?というと、
やはり、青色事業専従者の労務の対価として適正かどうかについて、
次の判断基準があります(所法令164①)。
及びその事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払いを受ける給与の状況
3 青色専従者給与は、労務の対価として適正であれば、必要経費になるのですが、
はたして3か月の休業中の対価は必要経費になるのでしょうか?
新型コロナウイルスによる感染拡大防止対策のための緊急事態宣言に伴う休業要請により、
事業に従事していない(勤務実態がない)3か月分の専従者給与は、
従事できなかったことが自然災害という偶発的な原因により休業を余儀なくされたものであったとしても、
労務の対価とは認められませんから、必要経費に算入することはできません。
4 既に納付した源泉所得税、贈与税はどうなるのでしょうか?
源泉所得税の取扱い |
贈与税の対象 |
|
・専従者の勤務実態がない ・労務の対価として不相当に高額な場合の不相当に高額な部分 |
納付済みのものが、過誤納金として還付される |
対象となる(注) |
(注)労務の対価でない場合や労務の対価として相当な額を超える部分は、贈与税
の課税対象となります。
広島総合税理士法人