トピックス

教えて!法人先生『役員報酬を上げたいんだけども・・・』

2018/09/13 [THU]

「死ぬほど仕事して、今期はかなり儲かった。税金払うぐらいなら、報酬をがっぽり貰ってやる!」と

一度は思った方いらっしゃるんじゃないでしょうか?

では、いつでも、好きなだけ役員報酬を増やしてしまうとどうなるでしょうか?

例えば、決算前に利益が出る見込みが立ち、

何の気なしに利益の全額を役員報酬として支給した場合、

利益がゼロになるので法人税もゼロになっちゃいますよね。

法人税法では、そのような発想により生じる「法人税の軽減」を防止する観点から、

『役員給与の損金不算入(法人税法34条第1項)』という規定が設けられており、

次の「役員報酬の種類」のとおり、

法人税法上認めうる役員報酬の支給要件や支給時期等が決められています。

役員報酬の種類

(1)定期同額給与

  毎月一定額を支給するもので、原則、期中増額はできません。

(2)事前確定届出給与

  所轄税務署長に「役員名、支給時期、支給額」を届け出て、その通り支給するものです。

  届出期限は、次の①か②のいずれか早い日です。

    ①株主総会から1ヶ月以内

    ②事業年度開始から4ヶ月を経過する日

(3)業績連動給与

  非同族会社(完全支配関係がある同族会社を含む。)が業務執行役員に支給する給与で、

  一定の要件を充たす必要があります。

つまり、役員報酬は、

決算が終わってから一定時期までに翌期の支給額を決め、

その通りに支給する必要がありますが、

その要件さえクリアすれば、

思ったとおりの役員報酬を支給することができます。

事前に利益予測をしっかり立てて、

「もっと取っておけばよかった。」と後悔しないようにしなければなりませんね。

税理士と話し合うなど、事前の計画性がなにより大事ということになります。

一方で役員報酬が高額になると多額の所得税が課されますので、

法人税と所得税の実効税率とのバランスも考慮する必要があります。

法人税を圧縮するために役員報酬の額を引き上げてしまうと、

報酬を受け取った役員の方は、今度は確定申告を通じて所得税の対象になっていきます。

近年の傾向として、

企業の国際競争力の維持向上の為、法人税は減税傾向があり、

その反動として、所得税は高所得者を中心に増税傾向があるといえます。

なので法人税に目が行き、役員報酬の水準を上げ過ぎて、

「法人税は圧縮できたけど、所得税をその倍取られてしまった」なんてことは避けたいですね。

加えて、税務調査等により役員報酬が不相当に高額と認定された場合、

『過大な役員給与の損金不算入(法人税法34条第2項)』の規定により、

法人税法上、損金(費用)になりません。

この場合、多額な所得税は課されたまま、

法人税も課されるといういわゆるダブルパンチになりますので、

会社の規模等や役員の職務内容に応じた相応な支給額となるようご注意ください。

(なお、役員の親族等に係る給与(使用人給与)にも同様な規定があります。)

高過ぎてもダメ、安過ぎは論外。

懐具合に応じた納得感のある役員報酬―そこを目指していきたいものです。

 

広島総合税理士法人