社長:
先生、5,000円以内であれば、交際費として認められるんですよね?
税理士:
社長、認識が違います。
一人あたり5,000円以下の接待飲食費であれば、税務上の「交際費等」から除かれます。
社長:
えっ?「交際費」として認められる』のではなく、「交際費」等から除かれるの??
オレは、いつも一人あたり5,000円以下の領収証にしてもらってるぞ!
じゃあ何になるんだ!どうしてくれるんだ!!
税理士:
「どうしてくれるんだ」といわれましても・・・。
社長、言葉足らずでしたが、
その費用(5,000円以下の接待飲食費)は、簡単に言えば、
「交際費」の一類型としてではなく、
「会議費」として経費に認められるという感じですかね。
社長:
え、そうなの、ははは。
まぁそれならいいか。
Fin
ちょっとした小噺でしたが、
経営者をはじめ、会社に勤めている方も、
こんな会話をしたり聞いたりしますよね?
といわれる方もいらっしゃることでしょう。
経営者のみならず、営業マンの方にも興味がある「交際費」ですが、
税務上の「交際費」については、
いつもクローズアップされるものの、
かなり曖昧な理解の方が多いと思います。
「交際費」の取扱いは、
解説書が出されるほど難解で、調査等でも重要視されている項目であるといえますが、
基礎を知っておけば、それほど過敏になる必要はないと個人的には思います。
(実際には、交際費との近接科目での取り扱いには頭を悩ませますが・・・)
税務上の「交際費」の取扱いについて、歴史的な背景をみてみましょう。
会社が支出する「交際費等の額」は、
冗費を節約し企業の自己資本を充実させ、
企業体質の強化を図る政策的見地から、
原則として、その全額が損金不算入(所得金額に加算され法人税が課税)とされていましたが、
平成26年度税制改正において、
「交際費等の額」のうち接待飲食費の額の50%相当額を超える部分が損金不算入とされました。
加えて従来からある税制として、
中小企業においては800万円以下の交際費は損金算入となるものがあります。
これらを総合すると下表のようになります。
つまり、接待飲食費の額の損金算入は限度があるので、
単純に『一人あたり5,000円以内であれば、会議費となり交際費にならないので経費にしやすい』
もしくは『一人あたり5,000円以下の接待飲食費が交際費として経費になりやすい』という
上記の小噺につながる訳です。
ただし、この制度で接待飲食費を区分する必要があるのは、
交際費が800万を超えるような中小企業であったり、
支出交際費が全額損金不算入になる主に大企業であって、
一般的な中小企業においては、交際費はそのまま損金算入となります。
(注)接待飲食費になるためには、いつ、どこで、誰と、何人で、などを記載した書類の保存が必要となります。
さほど交際費の嵩まない中小企業であれば、
全額が損金(経費)に算入されるため、
法人税は課税されませんので、それほど神経質になる必要はありません
Appendix
税理士:
社長、くれぐれも、飲食店で一人あたり5,000円以下になる領収証に無理矢理しちゃだめですよ。
広島総合税理士法人