遺留分制度は、亡くなった人の財産について、
相続人に一定割合の承継を保証する制度です(民法1028条以下)。
亡くなった人は、遺言により自分の財産を誰に、
どのくらい相続させるか自由に決めることができますが、
遺留分制度により、相続財産の一定割合が、
相続人に留保されることとなります。
したがって、亡くなった人が特定の相続人にすべての財産を
相続させるとの遺言を残していた場合でも、
他の相続人は遺留分の限度で財産を取得する権利を有することとなります。
(設例)
亡くなった人甲の相続財産 2,000万円
相続人 配偶者乙、子A,子B
甲の遺言 相続財産をすべて乙に相続させる。
配偶者と子が相続人の場合、
全体の遺留分は亡くなった人の財産の2分の1となります。
さらに、各相続人の個別の遺留分は、
全体の遺留分に各相続人の法定相続分の割合を乗じて算出します。
したがって、設例の場合の各相続人の遺留分は、
配偶者 2,000万円×1/2×1/2=500万円
子 2,000万円×1/2×1/4=250万円 となります。
そうすると、子はそれぞれ250万円の遺留分を侵害されていますので、
配偶者に対してそれぞれ250万円の遺留分の減殺請求をすることができます。
遺留分を有する相続人は、配偶者、子、直系尊属であり、
兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分はありません。
また、全体の遺留分の割合は、
直系尊属のみが相続人の場合は亡くなった人の財産の3分の1、
直系尊属以外が相続人の場合は亡くなった人の財産の2分の1となります。
広島総合税理士法人