トピックス

教えて!相続先生『 生命保険金の非課税限度額』

2024/08/20 [TUE]
 死亡に伴い支払われる生命保険金は、相続税の計算においてはみなし相続財産と扱われるとともに、相続人が受け取った保険金については一定額が非課税となります。
 
その非課税となる額の計算は2段階で考えていきます。
 
●1段階目:非課税限度枠の計算
●2段階目:相続人各人の非課税限度額の計算
 

●1段階目:非課税限度枠の計算
 
まず、その相続での非課税限度額(非課税限度枠)を求めます。
 
 

(国税庁『相続税の申告のしかた(令和6年分用)抜粋』)
 
 
法定相続人とは民法の定める相続人のことです。自身の法定相続人の数さえ分かれば非課税限度枠は予測することも計算も簡単です。
 
▼よくある勘違い
誤✕ 500万円×生命保険金の受取人の数
正〇 500万円×法定相続人の数 
 
 機械的に法定相続人の数を乗じますので、契約数、受取人の数なども条文上(相続税法12⑥)の計算に関係ありません。
 
●2段階目:相続人各人の非課税額の計算
 
 次に非課税限度枠を生命保険金の受取額に応じて各相続人へ配分します。(相続税法12⑥ロ)
※生命保険金の受取総額>非課税限度枠の場合
 
例1)
相続人:配偶者の妻と子1人
生命保険金の受取人と額:妻4,000万円、子1,000万円
 

妻の非課税額が800万円、子の非課税額が200万円となり、非課税額は受取額の比率ともいえますね。
妻の受取額4,000万:子の受取額1,000万=妻の非課税限度額800万:子の非課税限度額200万
 
▼よくある勘違い(例1において)
誤✕ 妻と子の非課税限度額:それぞれ500万円
正〇 妻と子の非課税限度額:妻800万、子200万
 
例2)
相続人:妻である配偶者、子1人
死亡保険金の受取人と額:妻5,000万円
 
妻の非課税額が1,000万円、子の非課税額が0円です(非課税の配分0)。
非課税額は受取額の比率です(妻5,000万:子0=妻の非課税1,000:子の非課税0)。
 
 生命保険金による節税策を考える場合、まずは非課税限度枠がいくらであるかをしっかりと把握しておくことが第一歩目といえます。大事な資金で相続人のために契約されるのですから最大限効果的に使いたいですよね。
 
以上
 
広島総合税理士法人
 
(参考)
相続税法第12条(相続税の非課税財産)
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
第6項
 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じそれぞれイ又はロに定める金額に相当する部分
イ 第三条第一項第一号の被相続人の全ての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合
 当該相続人の取得した保険金の金額
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合
 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額