公益法人には財務三基準が求められます。収支相償・公益目的事業比率・有休財産額保有制限の三つです。
年度終了後に行う定期報告において、苦労される法人も多いと思われます。
収益事業の赤字が継続するとどうなるの?という話ですが、上記の財務三基準を踏まえた上で、公益法人で収益事業を行うにはどのような条件が前提となるのか、という側面から考えてみましょう。
①収益事業等は公益認定等委員会で許可されたものだけが実施可能なわけですが、②公益法人で許される前提は公益法人認定法第5条第7号に規定されており、「公益目的事業以外の事業を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること」。
さらに、③同法第18条第四号で、「収益事業等から生じた収益に内閣府令で定める割合を乗じて得た額に相当する財産」を公益目的事業を行うために使用し、又は処分しなければならないとされます。認定法施行規則第24条で、その割合は100分の50とされています。
重ねて、④認定法第15条第1項で、公益目的事業比率が100分の50以上となるように公益目的事業を行わなければならないとされます。
※「みなし寄付金」についてはこちらを参照
以上を総合して考察すると、本来の公益目的事業を円滑に推進するための収益事業ですので、赤字が発生すれば、「みなし寄附」が行えません。
区分経理していますので、収益事業での正味財産残高がある間は、公益目的事業に支障を及ぼすことはないように思えますが、事業継続のために公益目的財産を使用することはできませんし、また、公益目的事業から他会計振替を行うこともできません。
このままであれば、認定法第29条第2項第1号に相当し、「認定取消」という最悪の末路となります。
その意味で、収益事業が赤字の場合には、収益獲得を目指す経営計画が必要となります。
再建が不可能であれば、収益事業の正味財産残額の範囲内で処理できるうちに廃止する選択も行う必要があります。
広島総合税理士法人