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教えて!相続先生『相続税と所得税との違い』

2024/10/20 [SUN]
相続税と所得税とはどちらが馴染み深いか、といえば所得税でしょう。
この2つはそもそも課税標準(何に税率を乗じるか)が所得(所得税)と遺産(相続税)という違うもので、それが所得税法、相続税法の異なる税法で決められています。
ここでは、同じ経済上の取引について2つの税金でどのように取り扱い方になるのか、興味深いものを並べてみました。
 
1. 生命保険金の受け取り
相続税の取り扱い: 被保険者と保険料負担者が同一で受取人が指定されている場合、生命保険金は相続税の課税対象となります。ただし、受取人が相続人の場合には一定の非課税枠(500万円×法定相続人数)が設けられています。
所得税の取り扱い: 保険料負担者と保険金受取人が同一の場合、生命保険金の受け取りは所得税の計算においては一時所得(年金の場合は雑所得)となります。
 
2. 借入金と貸付金
相続税の取り扱い: 被相続人が残した借入金は、その残債が相続税の計算において債務控除として扱われます。遺産総額から差し引かれるため、課税対象額が減少します。逆に貸付金は相続財産となります。
所得税の取り扱い: 所得税の計算では債務残高、また、借入金返済額も影響はありませんが、支払利息は所得との関連性から経費となることがあります。
 
3. 不動産の相続と売却
相続税の取り扱い: 被相続人から相続した不動産は、その相続税評価額が相続税の課税対象になります。
所得税の取り扱い: 相続した不動産を売却した場合には、その売却益(売値ー取得費)に対して所得税が課されます。
ただし、相続税の申告期限から3年以内に譲渡するなどの特定の条件を満たす場合、発行会社が買い取る場合等に特例ががあります。
 
4. 医療費の支払い
相続税の取り扱い: 被相続人が亡くなる前に受けた治療費で、死後に支払われた医療費は、相続税の計算において債務控除として扱われます。
所得税の取り扱い: 同じく被相続人が亡くなる前に受けた治療費で、死後に支払われた医療費は、被相続人の準確定申告での医療費控除の対象として申告できます。
 
5. 贈与
相続税の取り扱い: 被相続人が生前に行った贈与は精算贈与、暦年贈与とも一定の額が相続財産に含まれます。令和6年度税制改正でその一定の額に改正がありました。
「教えて!相続先生『 相続時精算課税制度のメリットとデメリット 令和5年度改正』」
https://www.hiroso-ac.jp/column/3495/
所得税の取り扱い: 贈与を受けた場合には、所得税は非課税とされ、その代わりに贈与税の対象となります。
(暦年贈与は年間110万まで課税なし、精算贈与は通算2500万まで課税なし)
 
この他、法人税、住民税、登録免許税、固定資産税など様々な税は幅広く、取引(経済行為)が先にあり、それに対して何税が影響するのか、という風に調べておかないと想定外に損をしてしまいかねず、
そういったアドバイスが必要な場合には是非とも弊所へご相談くださいませ。
 
以上
広島総合税理士法人 税理士