いよいよ10月から待ちに待った(多くの国民は待っていなかった?)消費税率が10%に変わります。
当局からは、10月1日(施行日)をまたぐ取引等についてQ&Aを出して取扱いを示していますが、
前回の変更時(5%⇒8%)に混乱を招いたメンテナンス契約について前回とほぼ同じ内容のQ&Aで、
より実際の取引に即したものを出してほしかったと思います。
そこで、当局の事例を検討しつつ、
あえて当局の具体的事例にはないが、
一般によくある取引での取り扱いを検討してみたいと思います。
事例(当局が想定しているQ&A事例)
機器を施行日前に納入し、
併せて、納入後の1年間のメンテナンスを有償契約し、
1年分の料金を一括払いしました。
この場合の消費税率はどうなるでしょうか?
回答当局のQ&Aを参考にして検討すると次のようになります。
Ⅰ.原則
「役務提供(メンテナンスはこれに該当します)」にかかる「資産の譲渡の時期」は、
「役務提供の全部を完了した日」とされています。
契約期間1年、年額料金、1年後役務提供が完了するメンテナンス契約は、
施行日前に施行日をまたぐ1年分のメンテナンス料金(前受金・前払金)の
全額の受領(支払)が行われた場合でも、
役務提供の完了日が施行日以後であれば、
消費税率は『10%』が適用されます。(基本編:問6)
(注)メンテナンス契約は請負契約に該当しますが、
一般的に物の引渡しを要しない役務提供で、期間極めの契約の場合には、
その約した役務の全部の完了が一括して行われるものではありませんから、
2019.04.01(指定日)前に契約していても、
請負の経過措置の適用はありません。(基本編:問21)
Ⅱ.月極条項がある事例 (当局の想定しているメンテナンス契約)
毎月役務提供が完了する内容のメンテナンス契約について、
受取者側が一括受領した料金を各月で按分し、
毎月収益計上しているものは、
1年分のメンテナンス料金のうち、
施行日前の部分に『8%』、施行日以後の部分に『10%』を適用することになります。
仮に支払者側が法人税の短期前払費用の取扱いを適用し、
施行日前に支払ったメンテナンス料金の全額を支払日に損金算入する場合であっても、
消費税については、施行日前の部分に『8%』、施行日以後の部分に『10%』を適用して
仕入税額控除を行うことになります。
Ⅲ.月極条項がある事例 (当局の想定しているメンテナンス契約)
広島総合税理士法人