前回の措置法の中小企業の特別償却は、
『事業の用に供した日』が重要なポイントです。
措置法適用期限内に機械等を取得しても、
事業の用に供していないと特別償却の適用対象とならないからです。
減価償却においても、機械等は、利用や時の経過によって価値が減少し、
そして同時に、使用期間(耐用年数)を通じてその取得価額が徐々に費用化されます。
しかし税務上は、事業の用に供されていない機械等は減価償却資産に含まれませんから、
減価償却が認められません。
したがって、決算期末に思いのほか利益が出そうだということで、
あわてて機械等を購入(取得)しても、
事業の用に供していないと減価償却費が損金として認められませんから注意が必要です。
では、事業の用に供するとは、どのような状態をいうのでしょうか
①取得
まず『取得』ですが、
具体的にはどのタイミングなのでしょうか?
機械等の所有権を得たこと、つまり機械等を購入等をしたことを指します。
(請負契約に基づく建物については、一般的には引渡しを受けたこと)
例えば、検収が終わっていない設備については、
引き渡しが済んでいない一般的に未取得の状態と考えられます。
《参考判例》 名古屋高裁H4.10.29判決
請負契約の機械装置の取得時期については、
試運転および調整作業を完了し、
その機械装置が所期の性能を有することが確認され、
これに基づいて目的物の引渡しが行われることが必要である。
したがって、機械装置が設置されこれを事実上占有するに至ったというだけでは、
目的物の引渡しを受けたものとすることはできない。
②事業供用
次に『事業の用に供する』ですが、
具体的にはどのタイミングなの?
業種・業態・その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断されますが、
一般的には、その減価償却資産のもつ属性に従い、
本来の目的のために現実に使用を開始するに至ったことを指します。
例えば、機械等を購入した場合は、
機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、
その機械を据え付け、試運転を完了し、
『製品等の生産を開始した日』が事業の用に供した日となります。
機械等を期末に購入して減価償却する、
特に特別償却を適用しようとするのであれば、
①取得して、②事業の用に供する、ということを必ず3回は確認しましょう。
きっちり要件を満たして、快適な措置法ライフを!
広島総合税理士法人