とある流れる川の繁華街の一角にて、
なにやら社長と税理士が話し込んでいるようです。
社長:
先生、今日みたいに居酒屋で『社内会議』をしようと思うんですが、
酒やビールを飲みながらやってもいいでしょう?
その方が、社員からもいいアイディアが出るし、盛り上がるんだけど・・・。
税理士:
そうですよね。
社員も話しやすくなりますしね。
社長:
そうそう、そうなんですよ。
もちろん、会議、純粋に会議をするんですよ。
だから「会議費」ですよね!ね!ね!!
税理士:
う、社長、そんな圧をかけられても・・・。
そう簡単にはいかないんですよ。
社長:
えー、またですか。
先生と話すとダメなことばかりですね。
税理士:
何でもかんでもいいって訳にはいかないでしょう。
社長:
接待なら「接待交際費」にするけど、
会議だから「会議費」にする。
素直に考えるとそうでしょう?なぜダメなんですか?
税理士:
「会議」という名目だけで「会議費」にしていたら、
「交際費」というものがなくなってしまいますよ。
「交際費」には、従業員に対する慰安なども含まれるので、
それとの線引きが曖昧になるでしょ?
その線引きを明確にするために、
「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」は
「交際費」の範囲から除かれているんですよ。
〇租税特別措置法第61条の4第4項 「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいう。 第一号 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用 第二号 飲食費であって、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用 第三号 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
〇租税特別措置法施行令第37条の5第2項 法61条の4第4項第三号に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。 第一号 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用 第二号 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用 第三号 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用 |
社長:
えっ?接待交際費って、取引先だけじゃないんですか?
税理士:
それが、社内の役員や従業員も対象になるんですよ。
第61条の4(1)-22(交際費等の支出の相手方の範囲) 「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、直接当該法人の営む事業に取引関係のある者だけでなく間接に当該法人の利害に関係ある者及び当該法人の役員、従業員、株主等も含むことに留意する。 |
社長:
「弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」とか、何ですか?
税金の条文は持って回ったような言い回しなんで、よくわからんのですよ。
税理士:
まあ、“通常供与される昼食の程度を超えない”ということでしょうね。
〇租税特別措置法関係通達(法人税編) 第61条の4(1)-21(会議に関連して通常要する費用の例示) 会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。 |
社長:
『社内会議』といっても、酒が入るとダメなのかー。
税理士:
やることに意義はあると思いますよ。
何事にも節度が必要ですから、
「通常要する費用」との線引きが付けば、
少々酒が入っても過度にならない程度で会議の実態があれば問題ないと思います。
通達では、「社内又は通常会議を行う場所」となっているので、
居酒屋はさすがに入らないと思いますけどね。
社長:
先生、この打ち合わせは、私が払いますので、「会議費」で!
税理士:
・・・。
広島総合税理士法人