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広島税理士のひとりごと『学校法人会計基準の改正について』

2018/04/20 [FRI]

 学校法人会計基準は昭和46年の制定以来、これまで改正されていませんでした。
 しかし、制定以来40年が経過し、社会・経済状況が大きく変化する中、学校法人の作成する計算書類等の内容がより一般にわかりやすく、かつ的確に財政及び経営の状況を把握できるものとなるよう、計算書類等の表示方法を中心に、大きな改正が行われました。新基準は平成27年4月1日から施行され、大学などの文科省管轄法人は平成28年3月期の計算書類等から適用、幼稚園などの知事所轄法人は施行日から1年間の猶予を置き、平成29年3月期の計算書類等から適用することとされています。
 
主要な改正点
1).
 活動区分ごとの資金の流れがわかる「活動区分資金収支計算書」を新たに作成することとなりました。
 ただし、知事所轄法人においては、特例により、活動区分資金収支計活動区分資金収支計算書又は基本金明細表(高等学校を設置するものにあっては、活動区分資金収支計算書に限る。)を作成しないことが認められています。

2).
 従来の学校法人会計では、全ての収入・支出を一覧表示して消費収支計算書を作成していたため、活動内容ごとに収支を把握するためには、利用者が自分で組替計算する必要がありました。
 このため、事業活動収支計算書(従前の「消費収支計算書」を名称変更)を作成することとし、「教育活動収支」「教育活動外収支」(経常的な収支)、「特別収支」(臨時的な収支)の3区分に表示して、それぞれが把握できるようになりました。

3).
 基本金に含まれる資産の内容やその運用の果実について、より明確にわかりやすく表示することとなりました。
 すなわち、2号基本金に対応する資産を2号基本金引当特定資産として表示することや、3号基本金について対応する運用収入を3号基本金引当特定資産運用収入として表示することとされました。

4).
 学校法人の継続可能性を示す仕組みとして、その運営に必要な一定の資金の確保状況について注記により明らかにすることになりました。すなわち、会計年度末日において4号基本金に相当する資金を有していない場合には、その旨及び当該資金を確保するための対策を脚注として記載するものとされました。
 4号基本金とは、前年度の事業活動収支計算書における教育活動収支の人件費(退職給与引当金繰入額及び退職金を除く)、教育研究経費(減価償却額を除く)、管理経費(減価償却額を除く)、教育活動外収支の借入金等利息の決算額の合計を12で除した金額とされており、単純に言えば、約1ヶ月分の運転資金ということになります。
 ただし、知事所轄法人においては、特例により、4号基本金の全部又は一部を組み入れないことができるとされています。

 

広島総合税理士法人