元気だった母親が,最近だんだん認知症の傾向がではじめました。
物忘れがひどくなり,通帳の保管場所がわからなくなったり,
部屋の整理整頓もできなくなってきています。
昨今は振り込め詐欺や悪質な電話勧誘も多く心配です。
それと子供の中に,母親に無心にくるものもいて,
何か手立てをしなければと思っています。
近年、日本人の高齢化がすすみご質問のような相談が増加傾向にあります。
両親が苦労して形成した財産ですので、
その想いとともに係争なく財産の承継をしていきたいものですね。
認知症などの理由で判断能力が弱くなったかたを対象として、
家庭裁判所が「成年後見人」を選任して法的な支援をしていく制度、
これが成年後見制度です。
判断能力の程度に応じて、①後見、②保佐、③補助の3種類があります。
いずれかを選択して申立てを行うことになりますが、
最終的には家庭裁判所が状況を判断して適切な類型を決定します。
特に、重要な点はこのような成年後見制度の認定を受けた場合に、
家庭裁判所の許可がないと多くの行為が行えなくなります。
財産の保全はできたとしても、最大のデメリットがこちらです。
例えば、預金を相続対策のために贈与したり、遊休不動産の売却をしたり,
賃貸マンションの模様替えをしたり,また時機をみて株式の投資をするなど、
できることよりもできないことが大変多くなります。
(ただし、経済的な理由や財産の保全上必要なものは認められるケースがあります)
よって、大切なのは成年後見制度に入るまえに,
あらかじめ税理士などの専門家をまじえて今後の財産について、
その方向性や財産の相続,納税額を予測していくことが必要です。
経験的には、60歳になったらそろそろ考え始めても遅くはありません。
また財産のことだけでなく、家を守るということや、
祭祀にも多額の費用が経年でかかる場合があります。
遺された人が「両親は何もせずに逝ってしまったね」と言われないように
時間を十分にとって考えていくことが重要です。
広島総合税理士法人