当事務所の岡本税理士が進行役を務めました『特別企画:加藤勝信自由民主党税制調査会小委員長に聞く』の記事が、中国税理士政治連盟の会報『中国税制連』2022年5月号(No.66)に掲載されました。
当HPでも、この記事を4回に渡って掲載します。
・第一回
・第二回
・第三回
・第四回
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中国税理士政治連盟広報委員会は、令和四年三月二十六日(土)の午後、令和四年度税制改正大綱作成の仕切り役である加藤勝信自由民主党税制調査会小委員長を訪問し、総社市の議員事務所にてインタビューを行った。重近会長と井上幹事長のほか加藤勝信後援会の江原和之後援会長が出席し、岡本広報委員長の進行により、このたびの税制改正大綱の作成の経過、ポイントを皮切りに、岸田内閣の掲げる成長と分配の好循環のための具体的方策、デジタルイノベーションほか今後の税理士に期待する事項についてお聞きした。
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── 広報委員長の岡本と申します。よろしくお願いいたします。早速ですが、加藤先生と税のこれまでの関わりについて、簡単にお話いただきたいと思います。
〈加藤〉 中国税理士政治連盟の皆様方には日頃から大変お世話になりまして、ありがとうございます。また、先般の衆議院選挙でもご支援賜りまして御礼を申し上げます。また、我が国の基盤であります「税」をしっかり確保するという観点から、税理士の皆様方には大変な役割を担っていただいていることに心から感謝を申し上げます。その上で私と税務行政との関わりで言えば、私自身は元々大蔵省出身で、今でいう財務省で仕事をしておりましたが、その関係で昭和五十九年七月から約一年間、広島国税局管内で倉吉税務署長として仕事をさせていただき、倉吉税務署管内のみならず、定期的に広島国税局に赴いて管内まして、そういった意味で税務行政に係る仕事をさせていただきました。議員になってからは、まさに税調等において税制改正要望に関わり、特にコロナ禍においては厚労大臣として厚労省関係の税に関する改正等を財務省に要望してまいりました。直近では官房長官をやっていましたので、政府として全体の取りまとめをさせていただいておりました。こういったことが税務行政との関わりであります。
── ありがとうございます。先生は議員になられてからずっと税調の委員会のメンバーとして関わって来られているということですか?
〈加藤〉 税調は広い意味で自民党議員の全員がメンバーなのです。私が入った頃には小委員会と言いながらもそこに全部の議員が出てきて、発言するという仕組みになっていました。小委員会というと小規模な委員会かというと、そうではなくてある意味では税調そのものと言っても良いですね。今回は小委員長としてそこの取りまとめをやり、もちろん税調全体としては広島県の参議院議員の宮沢先生が会長を務められ、私はそのサブとして仕事をさせていただいております。
── 先程ご説明いただきましたように、先生は税務行政の中で深い関わりをされているのですけれど、税調の小委員長という役割について具体的にお聞かせください。
〈加藤〉 ひとつは税調の小委員会というところで、それぞれの業界あるいは国会議員が見たり聞いたりしたことを踏まえた要望をあげます。まずは各部会の部会長が発言するわけですが、一般の議員も発言します。それが小委員会という場です。小委員会こそ自民党のいろいろな人たちの意見が活発に展開される場で、小委員長はそこの仕切り役をやらせていただくというのがメインの仕事であります。それ以外にはいわゆるインナーや幹部などいろいろな言い方をされますが、総じて言えば「今年の税制改革はこういう方向で行こうか」というあらかたの方針付けや「最終的にはこうしよう」という相談をする場所が、今言った税調の幹部会ということであり、私もそのメンバーであるということであります。
── 仕切り役という感じですね。
〈加藤〉 そうですね、議論の仕切り役であり、方向性を税調会長とも相談しながら取りまとめていく役割です。
── ところで伝え聞くところによると、去年の大綱作成は短期間でやらなければならなかったという話をお聞きしているのですが。それは衆議院選挙も影響していたと思うのですが、そのあたりの経緯をお伺いできますでしょうか?
〈加藤〉 おっしゃる通りで、税調 から一週間遅れてのスタートとなの議論は毎年十一月半ばから十二月十日前後にかけての約四週間で大綱を決めるスケジュール感ですが、去年の場合は十月のぎりぎりまで衆議院選挙があり、その後党の人事などがあったことから、十一月二十六日の総会がキックオフになりました。その前の年は十一月一九日がキックオフでしたから一週間遅れてのスタートとなりました。結果的に週末を使って幹部会を開催するなど、かなりタイトなスケジュールではありました。
── 一週間でも大きいのですね。
〈加藤〉 一年の一週間はそうでもないのですが、四週間の一週間ですから、これは結構大きいものがありますね。
── 今の国会では通常は補正予算から組むものが年内に組まれた関係上、本予算を十二月から審議したということを新聞で読んだのですが、その関係もあって短かったのですか?
〈加藤〉 そのことと直接の関係はないですね。やはり一番大きいのは選挙ですね。
── 次に、大綱の出来栄えについて自己評価をするとしたらいかがですか?
〈加藤〉 自分で出来栄えを評価するのは辛いものがありますね(笑)。今回の税制改正大綱というのは岸田政権スタート後の最初の税制改正でした。よって、政権がどういうことを考えておられるか、特に新しい資本主義の中で「成長と分配の好循環」をしっかり実現していくための方策の構築、あるいは菅政権、さらに以前からのカーボンニュートラルとかデジタル化とか、次の時代に向けて税制面からどう対応していくのか、このような課題がある中で、賃上げにかかる税制をさらにバージョンアップしたことが特色でしょうか。
また、後程ご質問があるかと思いますが、特に大企業に関してはいわゆるマルチステークホルダー株主だけではなくてそこで雇用されている人や取引先に対してもしっかり対応してくれることを前提に、税額控除の適用を進めていくとか、あるいはオープンイノベーション税制をより使い勝手が良いものにしていくこと。さらにはカーボンニュートラルに関して、住宅ローン控除を住宅の省エネ性能向上を促進し得る形で延長していくということなどです。検討条項の中で様々な議論がありましたけれど、カーボンニュートラル実現に向けての「ポリシーミックス」について様々な観点から検討を進めますというところを検討事項に明記しました。この辺がひとつの特徴ではないかなと思います。もちろんこれから検討すべき課題としたものもありますが、求められているものに対してひとつひとつ答えを出すことが出来たと考えています。
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(中国税制連』2022年5月号(No.66)『特別企画:加藤勝信自由民主党税制調査会小委員長に聞く』より)
②へ続く
広島総合税理士法人