令和4年9月1日に内閣府のFAQ「V-2-⑤ 」と「V-2-⑥」が改正されました。
旧 1 収支相償の計算においては、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に係る費用を比較することになりますが、その際には原則として各事業年度において収支が均等することが求められます。
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新 1 収支相償の計算においては、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に係る費用を比較することになりますが、本基準に基づいて単年度で必ず収支が均衡することまで求めることはしません。
旧 1 収支相償は、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に係る費用を比較することになりますが、原則として各事業年度において収支が均等することが求められています。
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新 1 収支相償は、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に係る費用を比較することになりますが、本基準に基づいて単年度で必ず収支が均衡することまで求めることはしません。
FAQが変更され、その中の文言で、単年度での拘束をしない旨が明言され、剰余金解消計画が、翌事業年度に縛られないことが示されました。
一方、FAQの前提の認定法、認定法施行規則、ガイドラインの改正は行われていません[1]。
監督官庁が、収支相償の考え方を正した、と見るのが正しいようです。
公益法人制度の改正検討の中で、「収入―適正な費用」が収支相償であり、適正な費用には特定費用準備資金、資産取得資金が含まれ活用されることで、一般の法人であれば、剰余は発生しない。との見立てでしたが、特定費用準備資金、資産取得資金の積み立てが行われなく、今回の改正となりました。
特定費用準備資金、資産取得資金を上手に使用しない限り、「公益の増進」は進みません。
広島総合税理士法人
[1] 新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議の「中間報告2022」(2022年12月26日)の中で、「(収支相償原則が)単年度の収支差ではなく、中期的な収支均衡状況の確保を図るものであるという趣旨を、法令上明確化する方向で検討する。」とされています。