公益法人にはさまざまな税制上の優遇措置があります。
※公益法人とはhttp://www.hiroso-hiroshima.jp/topics65.html
まず、法人税をみてみましょう。
法人税法では、以下の2つの点から課税対象を決定しています。
1つ目は、その法人が非営利型法人に該当するかどうか。
2つ目は、その法人の行っている事業が収益事業に該当するか。 です。
課税所得の範囲は以下の表のように3つに区分することができます。
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公益社団法人・公益財団法人 |
公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人 |
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非営利型法人 |
非営利型法人以外の法人 |
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法人税法上の法人区分 |
公益法人等 |
普通法人 |
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課税所得の範囲 |
収益事業から生じた所得が課税対象(注) |
全ての所得が課税対象 |
(注)公益社団法人・公益財団法人の公益目的事業から生じた所得は課税対象にならない。
(国税庁HP参照)
上記の表の通り、公益社団法人であれば「収益事業」から生じた所得だけが課税対象になりますが、一般社団法人のうち「非営利型法人以外の法人」に該当する場合は、株式会社と同様にすべての所得に課税されます。
では、
「非営利型法人」と「収益事業」について詳しく見ていきましょう。
【非営利型法人】
非営利型法人は、①非営利性が徹底された法人と②共益的活動を目的とする法人の2種類があります。
非営利型法人に該当するためには
以下の「すべての要件」を満たす必要があります。
①非営利性が徹底された法人
(a)剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること
(b)解散した時、残余財産を国等一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること
(c)上記(a)、(b)の定款に違反する行為を行う決定または行ったことがないこと
(d)理事と理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の1/3以下であること
②共益的活動を目的とする法人
(a)特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定款に定めていないこと
(b)解散した時、残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと
(c)会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること
(d)定款等に会費の定めがあること
(e)主たる事業として収益事業を行っていない
(f)上記(a)~(e)または(g)の期間に該当していた期間において特定の個人又は団体に特別の利益を与える決定または与えたことがないこと
(g)理事と理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の1/3以下であること
上記の要件に該当しないものがある場合、たとえ法人の目的が公益目的の事業を行っていても、その所得のすべてが課税対象になります。
【収益事業】
以下の法人税法に定める34業種に該当している事業を行っている場合は、収益事業に該当しその事業については法人税の課税対象となります。
物品販売業 |
不動産販売業 |
金銭貸付業 |
物品貸付業 |
不動産貸付業 |
製造業 |
通信業 |
運送業 |
倉庫業 |
請負業 |
印刷業 |
出版業 |
写真業 |
席貸業 |
旅館業 |
料理店業その他飲食店業 |
周旋業 |
代理業 |
仲介業 |
問屋業 |
鉱業 |
土石採取業 |
浴場業 |
理容業 |
美容業 |
興行業 |
遊技所業 |
遊覧所業 |
医療保険業 |
技芸教授業 |
駐車場業 |
信用保証業 |
無体財産権の提供等を行う事業 |
労働者派遣業 |
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≪具体例≫
会費:非課税
物販:課税(34業種の物品販売業に該当)
アパート賃貸:課税(34業種の不動産貸付業に該当)
次にみなし寄付金についてみてみましょう。
公益社団法人は収益事業に属する資産のうちから、その収益事業以外の事業で自らが行う公益目的事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄付金の額とみなして、寄付金の損金算入限度額の範囲内で損金算入が認められています。(注)一般社団法人(「非営利型法人」)については、みなし寄付金の適用はありません。
つまり、収益事業から公益目的事業へ金銭等を移動したとき、同一法人内での資金移動であり、その移動は他法人等の外部に支払ったものではありません。その移動した金銭等の額を寄付金の額とみなして、収益事業の法人税の課税所得の計算上、一定の限度額の範囲内で損金算入ができるということです。
一定の限度額とは①と②のうち多い方の金額になります。
①所得金額の50%
②公益法人特別限度額(以下のア、イのうち金額の少ない方)
ア:みなし寄附金の額
イ:当期の公益目的事業に係る費用の額から当期の公益目的事業に係る収入の額を控除した金額
広島総合税理士法人