世間では3月決算や12月決算の企業が多いですが、
年末や決算期末に向けていろいろ対策を練ったりしますよね。
そこで税制のおさらいをしておきたいと思います。
毎年行われる税制改正、
関心こそあれども、文章は長いし、
その内容をすべて正確に理解することはなかなかに困難なことでしょう。
税制改正は、
毎年12月に「税制改正大綱」が閣議決定され、
国会において法案が可決したのち、
翌年4月から施行されるという流れになっています。
「税制改正大綱」には、
その税制をなぜ導入するのか、
背景や経緯、趣旨などが掲げられています。
(このあたりが敬遠してしまう一因かもしれませんが)
ホントはそれらを理解した上で改正内容を見ていくと、
意外と理解が早いのかもしれませんね。
前置きが長くなりましたが、
今回のテーマである「おすすめの税制」と言えば、
いろいろありますが、やはり「所得拡大促進税制」でしょう。
『先生、難しいことはええから、とにかく簡単に説明して』
と言われることがよくありますが、
ちょっとだけ小難しいことを挟みながら、できるだけ簡単に説明してみます。
所得拡大促進税制は、
従業員の給与・賃金の増加促進のため、
平成25年度の税制改正で創設されました。
その後、毎年のように要件緩和や税額控除額の上乗せが行われています。
改正の経緯と趣旨(平成30年度税制改正の解説)に目を向けますと・・・
これまでの政府の取組により、雇用・所得環境は大きく改善され、
この経済の成長軌道を確かなものにするためには、-(中略)-
「賃上げや設備投資に積極的な企業に対しては、法人の利益に対する
実質的な税負担を、国際競争において十分に戦える程度にまで軽減する。」 ・・・としています。
また、従来の所得拡大促進税制は平成30年3月末をもって適用期限が切れるため、
「賃上げ及び投資の促進にかかる税制」として、
「実質的な税負担割合を25%まで引き下げる」ことが可能な制度へと
改組することとしたとあります。
これらを踏まえて、
覚えておいてほしいのは次の一点(表007)のみです。
(小難しいことに興味があれば、文末の図表等も見ておいてください)
どうでしょう、
なんとなくでも、理解できたでしょうか。
表の中のことだけでも心のどこかに置いておいてもらえればと。
つまり賃上げをすればするほど、従業員への還元をすればするほど、
税金をおまけしときますよ、という制度ですね。
給与・賃金を引き上げるということは、
その増加分は当然に費用として利益圧縮(節税)ができますし、
加えて“税金のおまけ”までついてくる。
おすすめだとは思いませんか?
巷ではAIだ、ロボットだと騒がれていますが、
多くの企業にとって、人材は競争力の源泉ですから、
従業員への還元を積極的に行う、人材投資を活性化させることは、
税制うんぬんは横に置いておいても、
今後の企業業績にプラス効果を与えるのではないでしょうか。
賃上げを積極的に行っている or 賃上げしてみようと思っている経営者の方、
是非、適用を検討してみては如何でしょうか。
(実際の計算はちょっとややこしいので担当税理士にご質問ください)
(注)中小企業等以外の法人は、適用要件や控除率等が違います。
適用年度や適用要件等の詳細は、こちらも税理士等にご確認ください。
以下、小難しいお話(中小企業者等に対する本税制(イメージ))です。
広島総合税理士法人