トピックス

教えて!公益先生『公益事業或いは非営利徹底事業における「特別の利益」』

2019/01/17 [THU]

法人税法上、「公益法人等」とされる以下のI・IIの法人は、収益事業への課税のみが行われ、非収益事業については非課税とされます。

一方、それ故に、これらの法人にとって特別の利益とは注意を要するものですが、一体、どのような注意が必要なのでしょうか。

 

I 公益法人

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、認定法)第5条(公益認定の基準)

(略)

 三号  その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。

 四号  その事業を行うに当たり、株式会社その他営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与え

る行為を行う場合は、この限りではない。 

 

三号関係は認定法施行令第1条に基準が明示されるが、法人税での同族関係者と同趣旨です。

四号関係は同施行令第2条で、営利事業を営む者への寄附或いは特別の利益を与える活動を行う個人または法人、社員等の相互支援、交流、連絡その他社員共通の利益を図る活動を行うことを目的とする団体、と定められています。

 

 認定法第29条第2項(公益認定の取消し)

  行政庁は、公益法人が次のいづれかに該当するときは、その公益認定を取り消さなければならない。

 一 第5条各号に揚げる基準のいずれかに適合しなくなったとき。

 (以下、略) 

 

特別の利益を供与した場合には、認定取消となります。

 

したがって、役員報酬・各取引価額の決定等では、内部規定等に基づく諸手続きに従って行っておく必要があります

 

 

II 非営利徹底法人

  法人税法施行令3条1項で定められる法人

  • その定款に剰余金の分配を行わない旨の定めがあること。
  • その定款に解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体又は次に掲げる法人に帰属する旨の定めがあること。

      i公益社団法人又は公益財団法人

      ii認定法第5条第17号イからト迄に掲げる法人

  • 上記1及び2の定款の定めに反する行為を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
  • 各理事について、その理事及びその理事の配偶者又は3親等以内の親族その他のその理事と一定の特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、3分の1以下であること。

 

次に掲げるような経済的利益の供与又は金銭その他の資産の交付が、社会通念上不相当な場合は、「特別の利益を与えること」に該当する危険がありますので、注意してください。

 

・法人が特定の個人又は団体に対して土地等の資産を無償又は通常よりも低い賃貸

料で貸付

   ・法人が特定の個人又は団体に対して無利息又は通常よりも低い利率で金銭を貸付

   ・法人が特定の個人又は団体に対して資産を無償又は通常よりも低い対価で譲渡

   ・法人が特定の個人又は団体から通常よりも高い賃借料により土地等の資産を賃借

   ・法人が特定の個人又は団体から無利息又は通常よりも高い利率で金銭を借受

   ・法人が特定の個人又は団体のから所有する資産を通常よりも高い対価で譲り受け   

   ・法人が特定の個人に対し、過大な給与等を支給

 

税務調査で賞与認定されれば、「公益法人等」から「普通法人」となり、再度、非営利徹底法人にはなれません

 

 

次回は、引き続き公益法人等における特別の利益について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

 

 

広島総合税理士法人