大谷翔平が通訳に24億8000万も盗難されるという前代未聞の事件が発生した。日本でいうと窃盗罪の被害にあったということになるが,盗難は,被害にあったことを意味する被害者側の視点の言葉のようだ。
大谷君は税の還付を受けるという形で救済されるのか?
日本では所得税法72条に雑損控除の規定があり「盗難若しくは横領による損失が生じた場合」に課税所得から一定の所得控除がうけられるというもの。
具体的には所得の額が1000万円で盗難額が500万であった場合には、、、
概算で、1000万-(500万-1000万×10%)=600万の所得となるもの。
ただし本規定は所得税法上の「居住者」つまり日本に住所があるものが対象となる。
大谷君はエンゼルス時代から複数年契約でアメリカに住所があるものと予測されるので、日本の居住者には該当しないものと思われるので、日本の雑損控除は受けられない(だろう)。アメリカの個人所得税をみてみると項目別控除という欄に⑤災害・盗難損失というものがあるのでおそらく同じような規定があるものと思われる。
ちなみにアメリカの所得税の最高税率は45%とのこと。
日本の雑損控除についてシャウプ勧告をうけ,昭和25年の税制改正では、「税法による控除の原因となる災害または盗難は納税者の意思または行為にもとづかないで発生したものを予定している・・」とされているので、納税者の意思にもとづかない盗難が前提となっている。
また「生活に通常必要でない資産」にも該当しない(と思われる)。
ただし,納税者に重過失があった場合はどうか?
大谷君は通訳に通帳を渡していて,「パスワードも教えて」「通帳もみたことがなかった」ようであるので盗難されるべくしてされたのかもしれない。家の玄関の前にお金をおいているようなものである。
この場合には日本の税法では救済されないのではなかろうか・・・
大谷君が今後、税務上救済されることを祈るばかりである。
広島総合税理士法人 岡本倫明