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『特別企画:片山さつき参議院議員に聞く』②

2024/05/31 [FRI]

当事務所の岡本税理士が進行役を務めました『特別企画:片山さつき参議院議員に聞く』の記事が、中国税理士政治連盟の会報『中国税制連』2024年5月号(No.72)に掲載されました。

当HPでも、この記事を4回に渡って掲載します。

第1回

・第2回

第3回

第4回

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コロナの爪痕とM&Aについて

 

──ゼロゼロ融資の話が出ましたけど、私たちが第一線で見ていた時に返済が厳しくなってくる、 払えなくたってくるという危惧は個人的に思っていましたが、 数字から見るとそうでもなかったように思えます。

 

〈片山〉 皆さんのお客様の中でも、コロナで大変な影響を受けられた業種についてはやっぱりしんどいなとか、条件変更したりリスケする割合が多いので、それを取引金融機関で借りてる人はずっとお付き合いが続くでしょうね。 公庫の場合は民間金融機関ではないのでどうするかという問題もありましょうが、最終的にはいつまで待ってくれるかという問題になっています。で、待ってくれなくなってしまって「廃業しなさい」と言われてしまったら、そういうところからも連絡が来ますよ。

 やはり飲食や観光関係が多いのです。また印刷やサービス業など、それらから商売やお金をもらうような業界があるじゃないですか。それらが全体的に辞められるうちに辞めちゃったところもあります。例えばタクシー会社も東京や名古屋など九割までしか売り上げが戻っていない中で例え一〇〇%になっても客の取り合いになるだけです。今のうちに権利を売って黒字の状態で辞めちゃったという会社がこの三年ちょっとの間にあります。広島ですら恐らくタクシーの売上高は一〇〇%まで戻っていないでしよう。乗合バスでも九〇%、 観光バスはまだ今からだと言っていました。その上に働き方改革が重なってしまうので仕事が来ても受けられない。

 先週お会いしたある地方のバス協会の会長は、ものすごい負債を抱えているため〇・一%でも金利が上がったら困ると仰っていました。皆様のお客様の中でも、給付金をもらったりゼロゼロ融資を受けたりして若い人が経営者として頑張っていらっしゃいますが、売上が一〇〇%に戻っていないため、辞めるなら辞める、続けるなら続けるの分水嶺になっているのではないでしようか。もちろん、続けられるところは思ったよりはありますでしょう。だけど皆様の中でも相談にのって、「一緒に信用金庫に行ってなんとかしなきゃ」というのは十件に一件はあるのではないですか。もう少し多いですか。

 

──確かに事業閉鎖は先生が今言われたように、にっちもさっちも行かなくなったのではなくて、一部を譲渡したりという形で存在しています。タクシーの例を言われましたけど、一消費者の立場からすると電話して予約できないことがたびたびあります。傷が広がらないように台数を減らしているようです。そういうところなんでしょうね。

 

〈片山〉コロナ融資を出している間に倒産件数がぐっと減ったのが今はもとに戻っていて、これがこの二、三年間でなだらかに増えるとは思いますが、リーマン・ショックの後とか、あるいは「りそなショック」の後のような増え方にはならないと思います。それは結局、日本社会が大型倒産に対応できない社会なので、大型倒産が起きそうになると、九〇年代の終わりみたいに「ハゲタカ」が来たりして。

 つまり日本ではお金を持って買いに入って計算して、M&Aで立て直すと買い手をして手を挙げるところが極端に少ないので、完全な買い手市場になっています。昔だったら「青い目のハゲタカ」あるいは「オイルダラーのハゲタカ」で、今は「中国のハゲタカ」です。それをすると国防上の危機にも繋がります。そのことは総理も十分ご認識されています。

 例えば能登半島がそうで、海岸沿いの名門旅館が破綻申請して、高い値で買うとなれば中国人くらいしかいません。日本は九〇年代に外国人に土地の保有をさせることをWTOで開放してしまい、今からそれを制限することは条約上難しいから、そのままやっているとこうなるんです。だから「日の丸再生」にするためには順繰りゆっくり時間をかけて、認定支援機関の方に手伝っていただき二、三年かけてやっていかないとそういう状態になります。過去もそうなったり、そうなりかけたりしているので。

 

 

──これは企業の再生とか雇用の問題だけではなく、先生が言われたように国防上の問題も出てくるわけですね。

 

〈片山〉急に観光客が倍も来るようになったら別ですけど、去年一年で年間三千万人まで戻って、四千万人までもうすぐの所へ来たなと。これまでもどこかの旅館が閉めるとなったときには、その同じ地域内でどこか余裕のある企業が引き取るということがあったのですが、それがもうできなくなって長いのです。老人介護施設が引き取るということもありましたが、それももう飽和してきて、名門旅館でも表には見えないだけで「バックドア中国仕様」というところがありますよ。

 

──規制はないのですか。

 

〈片山〉 ないのです。土地の取引を自由化したんですよ。WTOとその前のGATTで。その時は隣の中国か巨大な金持ちになって買いに来るとは思っていなかったのです。当時はまだ中国なんて途上国でしたから。見通しが甘かったんです。重要土地等調査法を作ったんですけど、それは基地から何kmとか、その「基地」も住宅は入れないとか。だからハウステンボスは米軍の近くであっても、佐世保の自衛隊や米軍の基地からは遠いから適用除外になってしまい今は香港ファンドが持っています。

 

──怖いですね。

 

〈片山〉 広島も駐屯地がありますよね。海田は私がいた頃は駐屯地でしたが今は格が下がってしまいましたけど、呉は海上自衛隊の一番重要な基地のひとつで、しかも近いじゃないですか。ですから広島市内の海側とか山の上等は注意すべきです。呉も山の上ですが、当然注意すべきです。

 

 

──話題から少し離れますけど、ちょうど今呉の話をしていたところですが、この度、製鉄所の跡地に防衛省の拠点活用の案が出ています。あれはやるべきでしようか。

 

〈片山〉これに関しては、地元のご意見を聞かず地元に住んでいない私が言う資格はないのですが、仮に国が安全保障上重要とみて使ってくれるというのは、滅多にないことですから客観的には悪いとは思わないです。しかし他のエ場が移転してきてくれた方が、地元の経済の活性化になるかもしれません。そういう話があるのかどうかも、実際のところ私たちはよくわからないです。呉については西日本豪雨の時に寺田議員と一緒に歩いて回って「明治時代から家があったここが崩れるのか」 と思いました。

 

──そうですね。呉の場合は江戸時代から海運が盛んになり鎮守府が設置され、そのために自然の山の上に住宅が広かって行ったわけですから。

 

〈片山〉無理に削ったところでもないのでちょっとショックでしたけど、あれだけ雨が降ればどこでも何でも崩れるという説もあります。だから後の復興は気候変動にも対応していかないといけない。しかし、皆さんすごいお力を入れて前向き復興になっていると思います。私も海田税務署長でしたし、私の前任者の方が呉の署長になっていたので、しょっちゅう一緒に釣りに行ったりしていて、呉にはいい思い出しかありませんね。

 

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(中国税制連』2024年5月号(No.72)『特別企画:片山さつき参議院議員に聞く』より)

 

③へ続く

 

広島総合税理士法人