―みなし寄付金って何ですか?
公益法人等(公益財団法人・公益社団法人・学校法人・社会福祉法人・認定NPO 法人)については、事業目的に反しない限り収益事業(法人税法上34業種)を行うことが認められています。公益事業(非収益事業)と収益事業を実施しておりますので、収益事業で所得が発生した場合には、収益事業の所得のみが法人税の課税対象となることになります。
みなし寄付金制度とは、このような場合に剰余金の処理をどのように行うかによって、「寄付金」の損金算入を認める制度です。公益事業に使用することが条件ですので、認められるためには、「区分経理」をすることが求められます。(裁決事例’00.3.7)
―「区分経理」?
現行の公益法人会計基準では、正味財産増減計算書内訳表の当期経常外増減額を記載した次行に「他会計振替額」の勘定科目を利用して記載されます。正味財産増減計算書に係る勘定科目及び取扱要領では、「内訳表に表示した収益事業等からの振替額」と説明されます。
―そういう風に記載していないと認められない、ということなんですね。ところで、いくらまでだったら寄付金として認められるんですか?
民法の34条法人の時は、公益法人であれば「区分経理」を前提に寄付金支出前の所得額の20%までが「みなし寄付金」の損金算入限度額でしたが、平成20年12月からの一般社団・財団法の施行で「認定法人」と「移行法人」に分かれました。その結果、「認定法人」については、①所得金額の50%と②公益法人特別限度額のいづれか大きい金額が損金算入限度額となり、旧制度に比して有利な取扱いとなりました。
一方、「移行法人」では「みなし寄付金」の適用がなくなりました。自助努力により公益活動を推進していただくための制度となっています。
公益法人特別限度額とは、「みなし寄付金」の額と公益目的事業実施必要額(当期の公益目的事業にかかる費用の額から当期の公益目的事業に係る収入の額を控除した金額)のうちいずれか少ない金額をいいます。
以上の意味から、収益事業の赤字が続く場合は、認定委員会等から事業の見直し、中止等の勧告がされる場合があります。
広島総合税理士法人