皆さんは公益法人の決算承認等に当たって、理事・監事・評議員の日程調整に苦労されたと思います。一般社団財団法では、理事会の開催と評議員会或いは総会開催の間2週間を空けなければなりません。
理事・評議員に名士・有力者が就任されている場合には事前の日程調整ができない場合があります。しかし、理事会は有効に成立するための要件があります。同じく、評議員会・総会においても有効に成立する要件が必要です。
旧民法時代は、委任状による決議参加、委任状による代理人の決議参加も有効なものとされ、前記のような不都合・苦労は発生する余地はありませんでした。
新法の施行により、移行した法人、認定された法人に対してのFAQにこれに関する指針が示されています。
FAQII-6-①(代理人の出席等)
「理事会、評議員会において代理人を出席させ、議決権を代理行使させることはできますか。また、理事会、評議員会において書面投票や電子投票をすることはできますか」
【回答】
「理事は、その個人的な能力や資質に着目し、法人運営を委任されている者であることから、自ら理事会に出席し、議決権を行使することが求められます。また、理事会における協議と意見交換に参加していない者が、その情報を知る前に、事前に書面投票や電子投票を行うということは、責任ある議決権の行使とはなりません。理事会が開催された場合には、社員総会について認められているような、議決権の代理行使及び書面又は電磁的方法による議決権の行使は認められておりません。」
「もっとも、円滑な法人運営のため、一般社団・財団法人法においては、定款に定めを設けることにより、理事会の決議の目的である事項につき、理事全員が同意し、かつ監事が異議を述べないときに限り、書面又は電磁的方法により決議できるものとされています。(一般社団・財団法第96条、第197条)」
FAQの前段の回答で基本的に硬直的な運営になっています。後段の回答で柔軟な運営方法が記載されています。これが「決議の省略」と呼ばれるものです。
・理事会の決議省略の要件は第96条・第197条において、次の通りです。
・決議省略の場合の決議があったとみなされる日は、決議に参加できる理事が書面又は電
磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が異議を述べたときを除く)に決議があ
ったものとみなされます。
・議事録の作成は決議省略の場合でも作成が義務付けられます。(施行規則第15条4項1号)議事録への記載事項は次の通りです。
この議事録には、理事及び監事の署名等は要求されません。
決議省略の対象議案は、限定されていません。理事会で決議できる事案はすべて決議省略とすることが可能ですが、形骸化の弊害を考慮すれば、最小限とすることが望まれるのではないでしょうか。
広島総合税理士法人