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教えて!法人先生『リース会計基準ってそもそもどう変わるの!?』

2024/10/15 [TUE]

2024年9月13日に企業会計基準員会において、

リース基準等の改正が公表されたことで、

新聞各紙及びその他メディアにおいても、

大々的に取り上げられたところです。

 

この点、会計・経理・財務等を専門にしない方々にとって、

「そもそも何がどう変わったんか?」

「自分に関係あるの?」

というざっくりとした疑念があることと思います。

 

それと同時に、

「会計基準とか小難しいことはいいから、3分で説明しろ」

というニーズもあるのではないかと思い、

3分ではちょっと無理そうですが、

わかりやすさだけに重点を置いて説明してみたいと思います。

 

(1)『What?』―何が変わったのか

変わるのは大きく見て2点、

①リースの範囲

②リースの評価 です。

 

①リースの範囲

基準上は「リースの識別」となっていますが、

ざっくりいうとリースとして処理するものを、

どこまで範囲を広げますか、という論点です。

 

今まではリース取引と銘打たれたものだけを

リース会計基準に則して処理してきましたが、

リース以外の契約、特に賃貸借契約や出店契約などのモノを借りる契約などが、

リース会計基準の対象となるなど、

概ね範囲が拡大すると考えられるような状況となります。

 

現状、賃借料などの勘定科目で費用処理してきたものが、

一旦、資産計上したうえで、減価償却等を通じて費用化されることとなり、

資産・負債のBS項目が大きく膨らんでいき、

費用等のPL項目は計上の仕方やタイミングが異なることとなります。

 

②リースの評価

リース契約等を資産計上するうえで重要となるのがリースの期間です。

基本的にリース期間に支払うリース料の総額が、

資産計上額の基本となってくるので、

リース期間が長ければ長いほど、

資産計上額(同時に負債計上額もですが)も大きくなることとなります。

 

この点、今まではリースにかかる契約上の期間をリース期間としたいたのですが、

新基準においてはリースの延長オプションや解約オプションなどを加味して、

リース期間を見積もることとなるので、

自動更新条項などは延長オプションとして捉えられることとなるので、

実質的にどの程度のリース期間となるか想定しておく必要がありそうです。

 

例えば契約上3年のリース期間のもので、翌3年間の自動更新があるものは、

単純に考えて、倍の資産計上(負債計上)をもとめられることとなるなど、

影響としては大きいものとなりそうです。

 

(2)『Who?』―誰に影響があるのか

現時点では、リース会計基準の改正であり、

少なくとも証券取引所に上場している会社や公認会計士の監査を受けている会社など、

企業会計基準に則して会計処理をしている会社は必ず準拠が必要となります。

 

一方で、これも新聞各紙等で言われているように、

税務上の対応がまだ見えてこないことから、

企業会計とはある種の対の概念である税務会計に則している会社は、

続報が待たれる状況にあると言えるのでしょう。

 

リース会計基準は1993年に制定され、2007年に改正がなされており、

いずれも概ね税務で改正がキャッチアップされていることを考えると、

今回の改正も同様にキャッチアップしてくるのか、

それともやはり見積項目の部分には立ち入らないのか、

興味深く見守っていきたいと思います。

 

また企業会計基準以外の基準、

例えば25年4月から制度改正のある公益社団法人・公益財団法人について、

目下、新公益法人会計基準案の策定がなされているところですが、

議事概要を見てみると、

「企業会計を参考にというスタンスではなく、

モデル会計基準をベースに非営利としての在り方というものを盛り込んでいく

(出展:第68回公益法人の会計に関する研究会 議事録P7より)」

という記載があるように、

公益法人等についても、

すぐさまリース契約を洗い出して、

オンバランスするということにはなりそうにないです。

 

(3)『When?』―いつから変えるのか

これは結構明確で、

2027年4月1日以降開始事業年度から原則適用、

2025年4月1日以降開始事業年度から早期適用、となっています。

 

「原則適用までまだ3年弱あるからそのうちでいいや」というとそうでもなく、

上述のリース範囲・リース期間の影響の確認や、

今後のリース契約の識別フローの構築など、

やることが多種にわたるので、

自社保有物件よりも賃借物件等が多い事業者の方は、

ある程度早めに着手された方がよいかと思われます。

 

(4)『Why?』―なぜ変えるの

本来ここまで抑えておく必要はないですが、

理由まで理解しておくと、

景色がクリアになるかと思い、蛇足ながら。

 

会計基準には改正の経緯なども記載されており、

そこには国際会計基準などでは先行して同様のリース会計基準を適用しており、

日本の会計基準が国際的に遜色ないレベルにまで引き上げるため、とされています。

 

名目的には、確かに国際的なルールに合わせて、

我が国の会計ルールも変更しますということですが、

実質的には、自社物件で営業する人と賃借物件で営業する人と、

事業活動の内容はほぼほぼ一緒なのに、

事業活動の結果たる財務諸表が大きく異なるのはよくないので、

似たような財務諸表となるように調整しましょう、ということです。

 

 

如何でしょうか。

とても3分で終わりませんでしたが、

わしづかみレベルでボヤっとでも理解できれば、

次はより専門的な書籍に移っても「なるほどそういうことか」と理解も進むことでしょう。

 

 

広島総合税理士法人