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広島税理士のひとりごと『負の遺産について思うこと』

2019/07/20 [SAT]

 近年、負の遺産という言葉をよく耳にする。

 

 負の遺産とは、文字通りに解すれば、

「相続財産のうちの負債」ということであるが、

ここでは、資産ではあるが、

相続人にとって利用価値がないもの、

あるいは利用するには困難が伴うことなどから、

しいて相続したくない財産をいう。

 

 負の遺産の代表例は、

相続人が利用していない空家や

主として農村部に所在する利用していない土地などがある。

 

 総務省によれば、

現在、国内の住宅総数に占める空家の割合は

過去最高の13.6%であり増加の一途をたどっている。

ちなみに、広島県の空家の割合は全国平均を上回る15.1%となっている。

 

 また、利用していない土地の中には、

現所有者不明の土地が多く含まれており、

その面積は約410万ヘクタールで、

九州全土の367万ヘクタールを大きく上回る状況となっている。

現所有者不明の土地も増加の一途をたどっている。

 

 空家となった要因は、解体費用を要する、

空地にすれば固定資産税が増える、

貸家が老朽化すれば借り手が見つかりにくい、

売却が困難であることなどが挙げられる。

 

 また、現所有者不明の土地は、

登記費用がかかるため相続登記しないまま年月が経過して、

所有者の把握が困難となっていることなどが挙げられる。

 

 これらの、空家や利用していない土地の多くは、

負の遺産から発生したもので、

倒壊や放火、環境衛生や防犯上の問題、

公共事業の妨げになっているなど、

深刻な社会問題となっている。

 

 この問題解消のための施策が講じられているものの、

一方で私有財産の保護といったこともあり、

抜本的な解決策に至っていないのが現状であろう。

 

 一長一短に解決できる問題ではないが、

地方の活性化、地方での雇用確保、

農業だけでも生活できる施策等を講じて、

地方定住を促進していくことが問題解決の原点ではないか。

 

広島総合税理士法人