令和元年10月1日から消費税が10%になりました。テレビでは連日消費税増税で生活が苦しくなる、との政権批判のオンパレード。駆け込み購入によりトイレットペーパーが売り切れるなどの喜劇があったようです。
しかし、実は消費税増税により値下がりしたケースも多数あることをご存じでしょうか?その秘密がこれからお話しするキャッシュレス・ポイント還元事業です。
キャッシュレス・ポイント還元事業とは、令和元年10月1日から令和2年6月30日までの間、対象店舗でキャッシュレス決済をすると、その金額の2or5%が国の負担でポイント還元されるというものです。ここで、2or5%還元と言われますが、実は税込価格の2or5%です。ということは、最低でも増税分以上がポイント還元されることになりますので、増税後に買った方がお得ということになりますね。
例:1,000円のものを2%還元の店で買った場合の実質負担額
増税前:1,000×108%=1,080円
増税後:1,000×110%×98%=1,078円
例:1,000円のものを5%還元の店で買った場合の実質負担額
増税前:1,000×108%=1,080円
増税後:1,000×110%×95%=1,045円
では、どうすればポイント還元を受けることができるのでしょうか?
まずはキャッシュレス決済で支払いをすることが必要です。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済(いわゆるなんとかPay)のいずれかで払うこと、と考えればほぼよろしいでしょう。
還元対象となる店は、業種ごとに要件が定められており、例えば小売業であれば資本金5千万円以下または従業員数50人以下の中小・小規模事業者ですが、所得が15億円を超える事業者や、大企業の100%子会社等は除かれます。
そして、これらの事業者のうち、キャッシュレス・ポイント還元制度に加盟店登録したものがポイント還元を受けられる店舗ということになります(中小・小規模事業者は5%還元となり、大企業のフランチャイズ加盟店では2%還元となります)。加盟店登録した店のみというのがミソで、単に近所の店がキャッシュレス対応したぞと買い物をしても、そこが加盟店登録していなければポイント還元を受けることはできません。10月1日に加盟店登録されているのは約50万店と、全国の中小店舗200万店の一部に過ぎません。現在も登録申請は受付中ですが、加盟店では店頭にキャッシュレス・ポイント還元制度加盟店のマークが掲示してありますので、注意しましょう。
それにしても、ポイント還元と軽減税率の有無を考慮すると、税抜1,000円の物を買っても6通りの値段があることになります。一物六価というのは消費者を混乱させ、さすがに多過ぎではないでしょうか。
本体価格1,000円での支払額 |
消費税率10% |
軽減税率8% |
ポイント還元5% |
1,045円 |
1,026円 |
ポイント還元2% |
1,078円 |
1,058円 |
ポイント還元なし |
1,100円 |
1,080円 |
広島総合税理士法人