令和の即位礼正殿の儀で、恩赦が行われることが閣議決定され55万人が恩赦されました。我が国の恩赦は、古く中国の律令制度を基にして飛鳥時代に大宝律令が制定された折に導入されたもののようです。制度の発祥から、為政者の動向・立ち位置で運用は様々だったようです。恩赦が行われるのは、慶事、祭事、災害や飢饉の発生時等に行われていたようで、700年代の100年間に60回以上の恩赦が行われたとの記録もあるようです。
近代国家となり、三権分立が確立すると、恩赦は、行政権による司法権への介入となりますので、明治以降恩赦法が定められ、現行法は(昭和22年法律第20号)制定で全15条の法律となっています。法律上恩赦は、大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除及び復権に区分されます。
大赦 対象の罪の種類は政令で定められます。有罪の言渡を受けた者については、
効力を失う。
有罪の言渡を受けていない者については、公訴権は消滅する。
特赦 有罪の言渡を受けた特定の者に対して行う。
有罪の言渡の効力を失わせる。
減刑 刑の言渡を受けた者に対して施入れで罪若しくは刑の種類を定めてこれを
行い、又は刑の言渡を受けた特定の者に対してこれを行う。
復権 有罪の言渡を受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し、又は停止さ
せられた者に対して政令で要件を定めてこれを行い、又は特定の者に対してこ
れを行う。但し、刑の執行を終わらないもの又は執行の免除を得ない者に対して
は、これを行わない。
【戦後の恩赦】
1945年 第二次大戦終局(GHQ) 42万人
1946年 日本国憲法公布 17万人
1952年 4 月 サンフランシスコ講和条約 100万人
1952年11月 立太子礼 3500人
1956年 国連加盟 7.2万人
1959年 皇太子成婚 4.9万人
1968年 明治100年 1900万人
1972年 沖縄復帰 650万人
1989年 昭和天皇崩御 1017万人
1990年 平成天皇の御即位 250万人
1993年 皇太子成婚 1300人
以上の様に、わが国においても、慶事等に即して恩赦が実行されているが、その際の政権の意向によって、対象人員に大きな差が発生しています。また、基本的に現在は大赦・特赦が実施されることはないようです。
広島総合税理士法人 河野 隆