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教えて!公益先生『特定費用準備資金って何ですか?』

2020/01/24 [FRI]

 公益法人の認定基準には財務三原則があります。「収支相償」「公益目的事業比率」「遊休財産額」です。これらは毎期の決算財務諸表の数値を使用して機械的に算定され、一つでも未達となれば、イエローカードとなります。定期報告書類の作成を担当される方は、苦労されるところです。この場合に利用できるのが「特定費用準備資金」と「資産取得資金」です。

今回は前者についてのお話です。

 

 公益法人認定法施行規則第18条、FAQⅤ-3-④、FAQⅤ-3-⑦は、

「特定費用準備資金とは、将来の特定活動に実施のために特別に支出する費用(事業費、管理費に計上されるもので、引当金の対象となるものは除く。)に係る支出に充てるために保有する資金をいう。」としています。

 具体例とすれば、周年事業・記念事業、新規事業の開始、周年の大規模修繕等への費用積立が対象となります。さらに、将来において見込まれる収支の変動に備えて、自主的に積み立てる資金(一種の財政安定資金)が2019年9月20日に追加されました。

 

繰入要件は同法施行規則第18条第3項に法定され、すべて充たす必要があります。

①資金の目的である活動を行うことが見込まれること

②資金の目的毎に他の資金と明確に区分して管理され、貸借対照表の特定資産に計上していること資金の目的である活動を行うことが見込まれること

③資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取崩すことができないものであること又は目的外で取崩す場合に理事会の決議を要するなど特別の手続きが定められていること

④積立限度額が合理的に算定されていること

⑤特別の手続きの定め、積立限度額、その算定根拠について事業報告に準じた備置き、閲覧等の措置が講じられていること

→このため、予備費等や一般的な備蓄資金等は、要件を充たさないので非該当となります。

 

 特定費用準備資金への繰入は、会計では貸借取引となりますので、正味財産増減計算書へは反映されません。定期報告書類中で、収支相償や公益目的事業比率を計算する場面で、繰入額を費用とみなして取扱い、遊休財産額では控除対象財産とされます。

目的使用した場合には、当該取崩額は、公益目的事業比率の計算では費用の減算、収支相償計算では収入とみなされます。

 

 

注意すべき点

事業年度毎の繰入額については 、収益事業等を行っていない場合及び収支相償計算において収益事業等の利益の50%を公益目的事業財産に繰入れる場合は、特に制限はありません。

一方、収支相償計算において収益事業等の利益の50%を超えて繰入れる場合には、積立期間内で計画的に積立が必要となります。(ガイドライン1-5、(3)②《注》)

 

次回は、資産取得資金について!!

 

広島総合税理士法人